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皮革技術センター [皮革全般]

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平成27年度研究評価部会報告

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平成27年度 東京都立皮革技術センター推進協議会・研究評価部会 報告

平成27年度第1回東京都立皮革技術センター推進協議会研究評価部会が、 平成27年6月9日に開催された。平成28年度実施予定の研究課題についての事前評価が行われた。

研究評価部会委員

外部より選任された委員(7名)

事前評価対象の研究テーマ

(1) 硫化物を使用しない脱毛法の開発
(平成28年4月1日~平成31年3月31日)

(2) 靴用材料の性状調査-甲材料と裏材料-
(平成28年4月1日~平成31年3月31日)

各評価結果

硫化物を使用しない脱毛法の開発

(1) 研究の目的・内容
皮革製造業は、大量の水と化学薬品を使用し、大量の排水と廃棄物を産出する産業であり、環境負荷低減への取り組みが世界各国で課題になっている。製革工程中、特に、硫化物を使用する脱毛処理で多くの汚濁負荷物質が発生する。また、硫化物には脱脂効果が無いため、その後に多量の界面活性剤を必要とするが、界面活性剤の使用量の削減も求められている。一方、脱毛した原皮はゼラチンやコラーゲンケーシング等の食品用原料としても広く利用されている。脱毛皮に硫化物は残留していないが、硫化物で脱毛した皮を食品用原料として用いることを危惧する企業もある。したがって、環境に配慮した革作り及び食品利用への用途拡大を目指し、硫化物を使用することなく脱毛する方法を開発することを目的として研究を行う。硫化物以外で脱毛及び脱脂に有効な薬品の使用条件を検討し、脱毛及び脱脂状態を評価するとともに、コラーゲン・ゼラチンの特性把握を行う。さらに、革の試作を行う。

(2) 評価
部会としてA(提案通り実施)と評価する。本研究は、環境に配慮した製革を目指して新たな脱毛方法を開発するものであり、その成果が大いに期待される。

靴用材料の性状調査-甲材料と裏材料-

(1) 研究の目的・内容
現在、靴の甲材料と裏材料には様々な素材が使われている。かつては、天然皮革が靴材料の主流であったが、生産コスト削減の傾向や合成素材の進化も相まって、天然皮革以外の素材で作られた靴材料が増えて、依頼試験や技術相談として台東支所に持ち込まれる件数が多くなっている。このようなことから、天然皮革を含めた各種の甲材料及び裏材料の性状データを台東支所として把握する必要がある。したがって、天然皮革及び合成素材の様々な甲材料及び裏材料の性状を測定し、靴材料としての特性を把握する。また、天然皮革と他の素材との性状の違いを解析し明らかにすることで、靴・履物関連業界の産業振興や都民サービス向上に繋げることを目的とする。天然皮革、合成素材、布などの甲材料及び裏材料を収集し、それらの性状(物理的強度、通気性、吸湿放湿性、熱伝導性、保温性、変形性等)を調べ、靴用材料としての特性を比較検討する。甲材料と裏材料を合わせた試料の性状も調査する。

(2) 評価
部会としてA(提案通り実施)と評価する。甲材料、裏材料及び複合材料の性状を明らかにするだけでなく、市販の低価格の靴の甲材料及び裏材料の性状を併せて明らかにすることは大いに有益といえる。